リナ・バネルジー
《Shareena, she chose, lost all her noodles explorer of better beauty in other people poodles. Caught hair in parts like runaway wigs and easter egg washed head with in and ribbons redfooled nature and her suiter to read her as different》 (2023年).
Courtesy of the artist and Perrotin
エスパス ルイ・ヴィトン東京では、エスパス ルイ・ヴィトンの設立20周年、およびフォンダシオン ルイ・ヴィトンの「Hors-les-murs(壁を越えて)」プログラム10周年という2つの節目を記念し、南アジア系ディアスポラのアーティスト、リナ・バネルジーの個展を開催いたします。バネルジーは、さまざまなファウンド・オブジェクトを、神秘的な女性像や、複雑で幻想的なインスタレーションへと変容させるアーティストです。東京、ミュンヘン、ヴェネツィア、北京、ソウル、大阪のエスパス ルイ・ヴィトンでコレクションの作品を紹介する「Hors-les-murs(壁を越えて)」プログラムの一環として企画された本展は、国際的なプロジェクトを展開し、世界中のより多くの人々に作品を届けるというフォンダシオン ルイ・ヴィトンの使命を体現しています。
リナ・バネルジーは、その多くがグローバル・サウス(作家によると「熱帯地域」)産である、綿糸やココナッツパウダーなど日常的な家庭用品の素材や、テキスタイル、ダチョウの卵、羽根、ガラスのシャンデリアといった、植民地主義の文化的・物質的な残滓を反映する要素を作品に取入れています。また絵画作品においては、歴史的なインドの細密画や中国の絹絵、そしてアステカのドローイングなどからも着想。抽象と具象の境界線上で創作を行うバネルジーの作品は、植民地主義的な眼差しに抵抗しつつ、予期せぬ(オブジェクトの組み合わせから発生する)ハイブリッド性を有し、卓越した視覚的美しさを生み出します。その作品は、社会的な分断や不正義を批判しながらも、常にユーモアを湛えているのが特徴です。「鑑賞者は、エキゾチックなオブジェに歓びを感じる一方で、その主張に戸惑いを覚えるのです」とバネルジーは語ります。各作品に付された長く詩的な物語のようなタイトルもまた、作品を構成する要素となっています。
30年近くにおよぶ創作活動を通じて、バネルジーは、植民地主義、移住、アイデンティティ、国際的な人と物の移動、気候変動、労働、エキゾチシズム、装飾、そして伝統と近代・現代性の間に横たわる緊張関係といった重要なテーマを探求してきました。ポストコロニアル・フェミニズムのアプローチを取入れるバネルジーは、多様なサイズ、形、色彩を持つ女性像を制作し、「男性の視線から女神を解き放ち、文化における想像力を支配する(男性から見た)性的な(中略)表象から彼女を解放すること」に注力しています。
「You made me leave my happy home to become someone else anew, in diasporas without origin to be related again this is living and in this waits the joy of one earthly place, hope of eternal intimacy. Intimate in Nature」と題された本展では、インスタレーションから彫刻、絵画にいたるまで、バネルジーが厳選した19点の作品を通じ、地球規模で行われる人間と物の移動と植民地主義のレガシーというテーマに光を当てます。本展の核となるのは、フォンダシオン ルイ・ヴィトンが公開するのは初めてとなる、コレクションの作品である記念碑的なインスタレーション《In an unnatural storm a world fertile, fragile and desirous, polluted with excess pollination…》(2008年)。フランスの作家ジュール・ヴェルヌの小説『八十日間世界一周』から着想を得た本作は、世界を巡る冒険の旅がもたらす驚異と危うさを表現しています。作品のコンセプト、天井から吊り下げられたドームとそこから降り注ぐオブジェという構造、そして色彩や形状といった造形的な要素、そのすべてが、バネルジーの創作活動の真髄を象徴するものです。本作は、人毛の国際取引とその政治的背景を扱った近作《Black Noodles》(2023年)と共に、コンセプトと造形の両面において本展の方向性を決定付けています。
2025年の新作絵画シリーズを含む本展において、バネルジーは、1900年以前のインド美術への深い造詣を基に、南アジアの素材やモチーフ、図像を融合させ、ヒンドゥー教の女神を想起させる女性像を創出しています。その作品は、「自己」という存在が持つ、多面的で流動的、かつトランスナショナルな性質を映し出すもの。それは、人生のさまざまな局面や異なる時代において数大陸を渡り歩いてきた、移民としての彼女自身のアイデンティティを探求するものでもあります。
フォンダシオン ルイ・ヴィトンについて
フォンダシオン ルイ・ヴィトンは現代アートとアーティスト、そしてそれらのインスピレーションの源となった重要な20世紀の作品に特化した芸術機関です。コレクションとフォンダシオンが企画する展覧会を通じ、公益を担いながら幅広い多くの人々に興味を持っていただくことを目指しています。カナダ系アメリカ人の建築家フランク・ゲーリーが手掛けたこの壮大な建物は、既に21世紀を代表する建築物と捉えられており、芸術の発展に目を向けたフォンダシオンの独創的な取組みを体現しています。2014年10月の開館以来、1100万人を超える来館者をフランス、そして世界各地から迎えてきました。
フォンダシオン ルイ・ヴィトンは、主催企画のみならず、公共機関や民間施設との連携においても、国際的な取組みを積極的に展開してきました。主な提携先には、モスクワのプーシキン美術館とサンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館(2016年の「近代美術のアイコン シチューキン・コレクション」展、2021年の「モロゾフ・コレクション」展)やニューヨーク近代美術館(「Being Modern: MoMA in Paris」展)、ロンドンのコートールド美術研究所(「コートールド・ギャラリーコレクション 印象派への視点」展)、サンフランシスコ近代美術館やボルチモア美術館(「ジョアン・ミッチェル」回顧展)などが挙げられます。また、フォンダシオンは、東京、ミュンヘン、ヴェネツィア、北京、ソウル、大阪のエスパス ルイ・ヴィトンにて、コレクションの作品を展示する独自の「Hors-les-murs(壁を越えて)」プログラムを展開しており、これらの展覧会はどなたでも無料でご覧いただけます。